2009年11月20日金曜日

グーグルゾン


2004年に予測を含めて作られた「epic2014」というのがあります。
ショッキングですがある方向を示唆しています。

epic2014の邦訳。長いんですが。

最良の、そして最悪の時代。
2014年、人々は前世紀には考えられなかったほどの膨大な情報にアクセスできるようになる。
誰もが、何らかの形で貢献をする。
全員が刻々と変化する生きたメディア空間に参加するのだ。
しかし、マスコミは姿を消してしまった。
”第四の権力”は衰退する運命にあり、20世紀的なニュース機関は結果的にはそれほど遠くない過去の残留物となった。

2014年への道は、20世紀半ばにさかのぼる。

1989年、スイス・ヨーロッパ粒子物理学研究所 (CERN)のコンピュータ・サイエンティスト、ティム・バーナーズ-リーは、ワールドワイドウェブ(WWW)を考案した。

1994年、アマゾン・コムが設立される。若き創設者の夢は、すべてを売ることだった。のちにインターネット販売の標準になるアマゾンのモデルは、店が個人のお勧め商品を自動的に教えてくれるレコメンデーション・システムの上に成り立っている。

1998年、2人のスタンフォードのプログラマーがグーグルを生み出した。そのアルゴリズムはアマゾンのシステムと似ており、リンクをレコメンデーションとして捉える。この土台が世界でもっとも強力な検索エンジンを始動させる。

1999年、TiVoは、テレビを時間帯とコマーシャルの束縛から解放することで、テレビを変える。元に戻ろうとする人は、ほとんどいなかった。
この年、パイラ・ラボと呼ばれるネット新興企業が、個人の情報発信ツール「ブロガー」を発表する。

2002年、フレンドスターが開設される。何十万人もの若者が登録に殺到し、彼らの生活や趣味、また人間関係に関する驚くほど詳細な情報を共有する。また、この年にはグーグルはニュース・ポータルの「グーグルニュース」を開設。ニュース機関は反則だと叫んだ。グーグルニュースのすべては、コンピュータにより編集される。

2003年、グーグルはブロガーを買収。グーグルの計画は謎だったが、彼らがブロガーに興味を持ったのには理由がある。

2003年は、ブログの年である。

2004年は、すべてが始まった年として記憶に残ることだろう。「リーズン・マガジン」誌は、各購読者が住む家の衛星写真を表紙にし、各人の好みにカスタマイズされた内容を掲載した号を発行した。
ソニーとフィリップスは世界初の大量生産向け電子ペーパーを発表。グーグルは、各ユーザーに1GBの無料スペースを提供する「Gメール」を発表。
マイクロソフトは、カスタマイズ可能なニュース・ポータル「ニュースボット」を発表。
アマゾンは、グーグルの技術をもとに構築し、アマゾンのレコメンデーション・システムとも統合した検索エンジン「A9」を発表。
そして、グーグルが上場する。
グーグルは、新たな資本をもとに大規模な買収を行う。グーグル、TiVoを買収する。

2005年 ー グーグルの動きに呼応して、マイクロソフトはフレンドスターを買収。

2006年 ー グーグルはサービスのすべてを統合する。同社は、TiVo、ブロガー、Gメール、グーグルニュース、そして検索関連のすべてを統合し、あらゆる種類のメディアを保存・共有するための無限大のストレージ容量と帯域幅を提供する万能プラットフォーム「グーグル・グリッド」を発表。常時つながっており、どこからでもアクセスできる。各自でプライバシー保護レベルを設定し、コンテンツを安全に保存したり、外部に公開することができる。誰にとっても、メディアを作り出すと同時に消費することがこれほど簡単にできたことはなかった。

2007年 ー マイクロソフトは、グーグルの増大する挑戦に対して、ソーシャル・ニュース・ネットワークおよび参加型ジャーナリズムのためのプラットフォーム「ニュースボットスター」を発表。ニュースボットスターは、ユーザーの友人や同僚が何を読んでいるか、見ているかを基準にニュースの順位づけや選別を行い、仲間が見ているものに対して誰もが自由にコメントできる。
この年、ソニーの電子ペーパーは、本物の紙よりも安くなり、ニュースボットスターを閲覧するツールとしての第一候補となる。

2008年は、マイクロソフトの野望に挑戦する提携が生まれる。グーグルとアマゾンが合併し、グーグルゾンが設立。グーグルは、グーグル・グリッドと最高の検索技術を、アマゾンはソーシャル・レコメンデーション・エンジンと巨大な商業インフラを提供し、1人ひとりの人間関係、属性、消費行動、また趣味に関する詳細なナレッジを把握することで、コンテンツ、そして広告の包括的なカスタマイズを実現する。

2010年のニュース戦争は、実際のニュース機関が参加しなかったという点が特筆すべきだ。
グーグルゼンはついに、ソフトウェア巨人のマイクロソフトも対抗できない手を打ってきた。新アルゴリズムを使い、グーグルゾンのコンピュータは、あらゆる情報ソースから事実や文章を抜き出して、それらをふたたび組み合わせることで、新しい記事を動的に作り出す。コンピュータが、各人に向けて記事を書くのだ。

2011年、眠れる第四の権力は、最初で最後の抵抗をするために目をさます。ニューヨーク・タイムズ・カンパニーは、グーグルゾンの事実抽出ロボットが著作権法に違反するとして、同社を提訴する。この裁判は最高裁まで進み、2011年8月4日、グーグルゾンは勝訴する。

2014年3月9日、グーグルゾンは「EPIC」を公開。
我々の世界へようこそ。

この”進化型パーソナライズ情報構築網(EPIC)”は、雑多で混沌としたメディア空間を選別し、秩序立て、そして情報配信するためのシステムである。ブログの書き込みから携帯カメラの画像、映像レポート、そして完全取材にいたるまで、誰もが貢献するようになり、その多くが対価を得るようになる。記事の人気度により、グーグルゾンの巨額の広告収入のごく一部を得るのだ。
EPICは、消費行動、趣味、属性情報、人間関係などをベースに、各ユーザー向けにカスタマイズされたコンテンツを作成する。
新世代のフリーランス編集者が次々と生まれ、人々はEPICのコンテンツを選別し優先順位をつけるという能力を売るようになる。
私たちのすべては多くの編集者を購読するようになる:EPICでは、彼らが選んだ記事を好きなように組み合わせることができる。最高の状態では、EPICは、見識のある読者に向けて編集された、より深く、より幅広く、より詳細にこだわった世界の要約といえる。
しかし、最悪の場合、多くの人にとって、EPICはささいな情報の単なる寄せ集めになる。
その多くが真実ではなく、狭く浅く、そして扇情的な内容となる。
しかし、EPICは、私たちが求めたものであり、選んだものである。そして、その商業的な成功は、報道倫理のためのメディアと民主主義をめぐる議論が起こる前に実現した。

2014年の現在、ニューヨーク・タイムズ紙は、グーグルゾンの支配に対する精一杯の抵抗として、オフラインとなった。
タイムズ紙は、エリート層と高齢者向けに紙媒体のみを提供するようになる。
しかし、ほかにも進むべき道は、おそらくあっただろう。

2009年11月17日火曜日

ビットの時代から


ビットの時代。昔読んだ本だ。
著者はニコラスネグロポンテ。
米マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボの創設者。
1995年出版、その年のうちに邦訳、90年代後半を席巻したITバブルの「聖書」となった本。

覚えているのはファクスの話。
アナログはデジタルには戻らない話。

毎朝メールが100通来る話。
(うっそぉとびっくりしました。)(僕はマックでまだ四苦八苦し、遅い通信にイライラしながら再起動を繰り返していた。)

日本での刊行当時は、ネットは黎明期で、ブロードバンドの普及なんてまだ夢の先。DVDよりVTR全盛。

でも、なんとなく、大きな変革が猛烈なスピードで起こっている、そんな予感は、垣間見えていました。
そんな現象と行き先を、ぴったりに表現した言葉。ビットの時代。
その本がタイトルも「ビーイング・デジタル」として再刊されている。

この中でネグロポンテは、"Daily me"(デイリー・ミー。日刊紙「本日の私」・日刊自分新聞)の出現を予言していた。
糸井さんの「ほぼ日」はこれに発想のヒントを得ていたのでしょうか。

書評には
「あれから、十数年経過して、本書が示唆する以上に、時代と世界は変化の波に洗われ、フラット化し革命的なスピードでビットが駆け巡る環境になりました。でも、その原理原則、ネグロポンテの思想が陳腐化することはありません。」と書いてある。

「願わくば本書のリニューアル、改訂版、続編を、ニコラスネグロポンテ氏に書いてほしいものです。現在の状況と、さらにクラウド・コンピューティングな状況がもたらす未来を。彼はどんなビジョンを持っているのか?」とも書いてあります。

なるほど。聞いてみたいものです。

そう思っていたら
「坪田知己 2030年メディアのかたち」がありました。
こりゃまたすごいです。

2009年11月16日月曜日

ハラキリ。クビキリ。


ハラキリ
被写体の天地を画面のセンターでフレーミングするのを「ハラキリ」と言うそうです。
そして、それは写真としてダメな構図ということらしいです。
じゃU2の写真は?
「おっかしいなぁ。だめなんだけどなぁ」とKOHさん。

あとで、もひとつネタいただきました。

クビキリ
被写体の首の後ろを造形物のラインが横切ることのようです。
それも写真としてだめな構図らしいです。

両方の話というかコトバを、僕は全く知りませんでした。

タブーに敢えてチャレンジするのもいいと思うのですが、
如何なもんでしょうか。