2007年12月15日土曜日

ザ!ザ?


「みやさん!Theをつけるかつけないかわかる?フフフッ・・・」
さる偉い方からの電話は唐突にはじまりました。

「え?Theはただひとつを表す定冠詞で、えっとですからこれはただひとつじゃないわけでして・・」
「ほぉ!じゃこれはどうかな?」
「あ、ほんとだ!じゃあ、あれは間違ってたんでしょうか?」
「いや、そうとも言えんのよ。つまり、あそこはTheを付ける事で頂点である事を言える訳じゃよ」
「な、なるほど。さすがですねぇ」
「いや、ほんまにさすがじゃのぉ」

「よろん」と「せろん」の違いを教えてくれたその方は電話の向こうで満足そうにうなずいていた。
Theをつけるとつけないでこんなにも違うのを知った。
新しい発見に、僕とその方は夜の帳の中でお互い満足げな笑いを浮かべていた。顔は見えていないんですがね。
「あ、でもちゃんと調べておいてくれよ。唯一無二、あそこだけがTheをつけた表現が許されているということを、な」
「はい、もちろんです。じゃTheをつけた表記が許されるのは世界各国にひとつづつしかないという事になるんですね」
「そうだろうね。特にイギリスとアメリカはどこがTheという称号を許されているのか知っておきたいね」

家に帰って調べた。え?!っていうくらいTheをつけたところがいっぱいあった。
き、教授!私ら間違ってるようです。

脳みそがざくろのように割れました。

2007年12月14日金曜日

チキンボーイ


どうしても食べたかったんです。
これくらい食べると高いかも・・・
と思いながらつい注文してしまいました。
「3ピースね、あ、それから・・・ビ、ビール」

地下の禁煙テーブルにどっかりと腰を据えて
はまってる冒険小説に目を落としながら
おいしかった。ちと高かったけど

妙に明るい店内、繰り返し流れる歌、これがまたうるさいんだ
山下某氏と奥さんの日本語クリスマスソング

「クリスマスはだれにもやってくる〜」
最初は気にならなかったんですが・・・
「そうだな」「わかりました」「わかったよ」「うっるさいな」
だんだん字が目に入らなくなってきた。

雰囲気出したいんだったらジャズでも流せよ〜
ボリューム落としてさ。

隣じゃ若い女性が友人を勧誘してるし
「もちろん無理にじゃないのよ。ほら、人には感謝のキモチってあるじゃない。
それを教えられたっていうか・・
この製品を伝えることが、そのキモチを伝える第一歩かなって」
だったらボランティアに精出せよッ!
つい、心の中で罵倒してしまいました。

チキンをたくさん食べた僕は単なるチキンな奴に成り下がっていたのです。
オ〜ッノ〜ッ!

2007年12月13日木曜日

今日おじいさんと


電車で本を読む時よくシルバーシートに座ります。
今日の朝もそうでした。
おじいさんが途中で乗って来ました。
すかさず立って席を空けました。
「ありがとう!」「いえ、どういたしまして」
途中でおじいさんの横の人が降りて行きました。
「あなた、座りなさい」「いえ」「いいから」
座らせていただきました。
おじいさんは何か話したそうでした。
僕は本に夢中でした。
終点渋谷で。
「あなたがんばんなさいよ」
「はい!」
思わず「ありがとうございます」と言いました。
おじいさんは席を立ちませんでした。
「おじいさん、終点ですよ」「はい、ありがとう!」

旅をしてるような人でした。
車内でもっと話せば良かった。
でも話してたらずっとついてってたかも。

『上善は水の如し』


水は、柔軟。

水は、謙虚。

水は、力を秘めている。

上善とは、理想的な生き方の意味。
理想の生き方とは、水のような特徴を身につける事だとか。

もうたっぷり日は暮れています。

信号待ちの人々はなんだかゆったりしていました。

自分がつまらん事を考えているようで何だかつまらなかった。

2007年12月12日水曜日

奇妙な果実


ビリーホリディが歌った「Strange Fruit」
どうしても歌いたかったらしい。
大手のレコード会社は録音をずっと拒否した。
「ストレンジ・フルーツ」ずっと題名の意味を知らなかった。
アメリカ南部で最も人種差別の激しいテキサス、ダラス。
リンチにあった黒人が木から吊るされている光景を歌ったものらしい。

違和感を覚える街がある。
身の置き所がない街がある。

この街はフルーティな街だ。そして奇妙だ。
店から何から次々に変わっていく。
群がるように人々が集まってくる。
人々の目線は落ち着かない。キョロキョロしている。笑ってない。
みんな「何か」を探してる。

僕も探し物をしている。
でもここじゃないし、こんなんじゃない・・・気がする。

2007年12月11日火曜日

陰陽礼賛



谷崎潤一郎。「陰陽礼賛」
あるカメラマンの講演を聴きに行きました。
聴衆はみんな建築家でした。なんで?
建築協会の主催だったからです。
示唆とイメージに満ちた内容でした。
昔、フランスに行き、空の青さに宇宙を見たとか
ヨーロッパの100年の意味とか
カメラマンなのに建築のプロデュースをしてるんですよ。
それもパリの国立大学とか、日本企業とか
アーティストとタニマチの関係もほのみえて面白かった。

フォトは光
心は闇

トーキョーを空から見た
絞るだけ絞ると、光が少なくなった。
建築家も愛読するという「陰陽礼賛」
修行が足りないアタシ。


「糸しい、糸しいと言う心」と書くと「戀」と言う文字。
「恋」の原点だそうです。
国語の先生にならったのは確か中学生の頃。
それだけで授業中どきどきしてました。
あれから何回胸をときめかせた事があるか?

さあ〜?

今年の夏、渋谷駅構内。偶然撮った一枚。
隅から隅までよく見たら、
何と若者しかいません。
渋谷だから当たり前、ですかね。

でも合成でもないのに、少しびっくりしました。
はい、それだけなんですが。