2010年1月8日金曜日

廃業!?


その人は元大手TV-CF制作会社のプロデューサーです。
バブルだ何だ、色々あって会社やら人やら入れ替わり立ち替わり
いくつかに分裂(いや分社)されて、ひとつの会社の社長になられました。
2010年の今年。年賀でメールのやりとりしていたら「今年で辞めるかも」

1.5年ほど前に電話があり、渋谷で会った情景が鮮やかに浮かんできました。

その渋谷では色んな状況が浮き彫りになる中で、相当にお疲れ気味でした。

かつてのしがらみ、他の事情で某大手代理店の仕事に絞ったという彼の仕事ぶりは素晴らしいのですが「良かったのかと言われるとわからないね。」

TV-CFはフィルムの時代からデジタルへ完全移行していますが、その移行は完全に彼を苦しめていました。

「え~ッ。今でもそんな体制で仕事してんの?!」
思わず叫んだほどです。
その世界は僕も知る懐かしい世界。
し、しかし、・・・
試写をするのが夕方だとしたら
前日まで徹夜して編集、試写に臨む

そこでさんざん修正が入ってまた翌朝、代理店への試写(当然徹夜です)
また代理店に修正かけられたら、すぐまた舞い戻って修正の編集作業。
そして夕方。クライアント試写(クライアントとはスポンサーの事です。)

内容に問題があるのじゃないか?
そう思われる方も多いと思いますが違います。

デジタルは「できる」を「すぐ直せる」にし、「細心のプロ作業」を「ちょっと直してみて」に変え
代理店もカラダ張らなくなって・・・
いわゆるしわ寄せは現場へ。

まさしく「事件は現場で起きてんだよッ!」状態。

彼もついに、今回のメールでは「競合競合競合・・・ もう疲れたよ」

才能は金のある所に集まる

広告とは 広告代理店とは 制作会社とは

全ての構造が何年か前から崩壊しているのに...
彼と彼の会社は、そこにいるしかなかったのだろうか。

3 件のコメント:

KOH さんのコメント...

身につまされる話です。私のまわりでも、長年アナログでエディトリアルデザインをしていたデザイナーが、デジタルに移行出来ず、廃業しました。ちょっと悲しい。
一方で、早くからデータレイアウトに取り組んでいたデザイナーは、平面エディトリアルから、建築関係の立体に移行しました。
ある日、長野の仕事場に電話すると、「もう平面やらない!」「ええっ!」「悪いけど、他あたってくれ!」
宇崎竜童じゃないんだからあ~勘弁して!
てな、思い出があります。

Unknown さんのコメント...

僕だったらもうやらないと決めてても依頼電話かかってきたら「やる」と言っちゃいます。だって没交渉になるといやだもん。そんな悲しい性格です。

川島孝之(表参道の小さな広告屋から) さんのコメント...

クライアント(スポンサー)や広告代理店の
理不尽な我が儘(修正)に付き合い、
徹夜徹夜で心身を削る広告制作会社の立場は、
なんて弱く悲しいものかとずーっと思ってきました。

「なんでも、いつでもやります」の会社ではなく、
お互い働き方のペースを理解した上で
(例えば、休日は作業日程に換算しないとか、
あまりに遅い時間は遠慮するとか)仕事・経営が成立する
立場を模索してきました。

極端に言うと、「川島さんの会社に頼むには、
早めに言わなくちゃねー、料金もあまり無理は言えないし。」
なーんて言ってもらえる関係。
でも、緊急事態ではとことんお手伝いする。

そんな理想の姿が、世界的不況でまた業界全体が
なし崩し的になって …。

でも、どうせ苦しいなら、こちらの理想をとことん追求するぜ!
「ぜひ頼みたい」という所としか商売しないのさ。(笑)

宮さんのこの記事、とっても考えさせられました。